「運動は昔から苦手でして」
仕事で初めてお会いする方から、よく聞く言葉です。
特に、責任ある立場にいる方ほど、そうおっしゃいます。
忙しい。
時間がない。
若い頃のようには動けない。
今さら始めても、どうせ続かない。
どれも、もっともだと思います。
私は長く運動指導の現場にいますが、正直に言えば、運動が得意な人は、放っておいても何とかなります。
問題になりやすいのは、運動が苦手で、身体のことを後回しにしてきた方々です。
運動が得意でない人ほど、身体を「使い切って」日々を過ごしています。
会議、判断、調整、責任。
頭をフル回転させながら、気づかないうちに身体は固まり、呼吸は浅くなり、疲労は抜けないまま積み重なっていきます。
それでも、多くの方はこう思っています。
「まだ大丈夫」
「もう少し頑張れる」
「倒れてから考えればいい」
ですが、身体は案外正直です。
限界が来る前に、必ず小さなサインを出しています。
朝、立ち上がるのに一拍遅れる。
椅子から立つときに、無意識に息を止めている。
夕方になると、思考が散らかりやすくなる。
どれも病気ではありません。
ただ、「整っていない」という状態です。
運動というと、汗をかくことや、筋肉をつけることを思い浮かべる方が多いかもしれません。
でも私が大切にしているのは、そこではありません。
身体を鍛える前に、整えること。
無理に変えるのではなく、本来の状態に戻すこと。
それだけで、集中力は持ち直し、判断は早くなり、人に対する余裕も生まれます。
これは精神論ではなく、姿勢や呼吸、身体の使い方が変わることで自然に起こる変化です。
運動が得意でない人ほど、
「ちゃんとやらなければいけない」
と考えがちです。
週に何回運動するべきか。
何分くらいやるべきか。
どんなエクササイズ、どんなプログラムで行うべきか。
ですが、最初からそんなことを決める必要はありません。
まずは、
・無理なく立てているか
・楽に呼吸できているか
・一日の終わりに、少しでも余力が残っているか
そこに目を向けるだけで十分です。
一般の皆様にとっての運動することの意義は、特別なものと捉えすぎて、ある意味イベントの様に考えてしまうものではなく、
『生活と仕事を支えるための身体的な意味での“環境づくり』
だと、私は考えています。
このブログでは、
「運動を頑張りましょう」
とは言いません。
代わりに、身体が整うことで、仕事や人生がどう変わっていくのかを、現場で見てきたこと、感じてきたことを、静かに書いていきます。
運動が得意でない方こそ、身体を大切にしてほしい。
それは、自分を甘やかすことではなく、これから先も、責任ある仕事を続けていくための準備だと思っています。
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前田 くにひさ
『くまスポ』代表/運動指導者/トレーナー養成講師
一般の方から経営者・管理職層まで、幅広い年代の身体と向き合ってきた経験をもとに、
「フィットネスの向こう側」を理念として掲げ、運動を通じて仕事や人生を支える身体の在り方を考え、
さらにその先にある健康で幸せな人生を追求し、活動中。
