結論から言います。
自分をバージョンアップさせるのは「運動」ではありません。あなた自身です。
運動は、あくまでツール。
そして、ツールは「握った人」が変わらなければ、何も変えてくれない。つまり、扱う人次第です。
でも逆に言えば――
そのツールをうまく使いこなせたとき、あなたは
そういう“自分が立つステージ”に、身体を最適化できます。
私トレーナーは「指導者」である以上に、運動というツールを使ってご自身をバージョンアップさせようとする皆様に「伴走したい」のです。
『伴走者』でありたい。
やる気というものは、外から押し込むと短命です。
心理学では、人が長く動き続けるには「自分で選んでいる感覚」が重要だ、と整理されています。自己決定理論(SDT)では、**自律性(自分で選ぶ)**が大事な要素のひとつです。
だから私は、セッション中、こういう言い方をなるべく使わない様にしています。
「これをやれば変わります」
「こうしないとダメです」
その代わりに、クライアントご自身に以下の様なことを自問自答していただける様にしています。
「どんな自分で居たいですか?」
「そのために、今いちばん小さく始められることは何ですか?」
答えを持っているのは、いつもご本人なのです。
WHOは、健康のための身体活動として、週150〜300分の中強度、または 週75〜150分の高強度(同等の組合せ)を推奨しています。筋トレは週2日以上。
でも、経営者の方々の生活にこの数字をそのまま載せる事は少しハードルが高い場合もあります。
そこで必要になるのが「設計」です。
行動設計の考え方のひとつに、Fogg Behavior Modelがあります。
行動が起きるには、
動機(Motivation)× やりやすさ(Ability)× きっかけ(Prompt)
が同時に揃う必要がある、と説明されています。
つまり、やる気より先にやりやすくして、やる瞬間を作る。
この様な“小さな実績を積み上げる設計”が、続く土台になります。
人が変わるプロセスには段階がある、という考え方があり、「無関心期→関心期→準備期→実行期→維持期」のように整理されます。
ここで大事なのは、「準備ができてない人(準備期前の人)に、正論を叩き込まない」ことです。
準備ができた人は、おそらく自ら動き始めます。
準備ができていない方々に必要なのは、言葉で諭す事ではなく、状況整理と、小さな一歩です。
なので、運動指導者としての私は、私の力で「人を変える」という意識は無く、人が変わるための様々な意味での環境整理を行っていると思っています。
変わるのはその人。私は、その人が変わる瞬間に立ち会える伴走者でいたいのです。
ここが一番伝えたいところです。
運動は、筋肉を増やすためのみに行われるものではありません。もちろんそれも目的の一つですが、それだけではありません。
あなたが立っているステージ、あなたが戦っているフィールドに、ご自身の心身を最適化する。
その手段として、運動というツールは大変有効なのです。
あなたが上がりたいステージに、身体を合わせる。
そのためには、けっして派手な取り組みは必要なく、むしろ静かな積み重ねなのです。
