「昔はもっと動けたんですがね」
「気合が足りないだけかもしれません」
50代前後の経営者や管理職の方と話していると、こうした言葉を耳にすることがあります。
ですが、最初にお伝えしておきたいことがあります。
50代から疲れが抜けにくくなるのは、決して気合や根性の問題ではありません。
責任ある立場にある方ほど、多少の不調があっても仕事を止めません。
・睡眠が浅い
・朝から身体が重い
・集中力が夕方までもたない
こうしたサインがあっても、
「まだ大丈夫だ」「仕事は回せている」
と、無意識のうちにやり過ごしてしまいます。
これは意志が弱いからではなく、『これまで結果を出してきた人ほど身につけてきた“能力”』でもあります。
問題は、ここからです。
40代後半〜50代にかけて、身体は少しずつ「回復の前提条件」が変わっていきます。
・回復に必要な時間が長くなる
・疲労が「抜ける」のではなく「溜まる」
・自覚症状が出る頃には、すでに余裕がない
この変化は、運動不足かどうか、根性があるかどうかに関係なく起こります。
つまり、「若い頃と同じ考え方で身体を扱うこと自体が、疲れを長引かせる原因になる」わけです。
ここでよくある誤解があります。
「運動不足だから疲れる」
「身体を動かしていないから衰える」
確かに一理あります。
しかし50代以降は、それだけでは足りません。
重要なのは、どれだけ動いたかではなく、回復できる状態に身体があるかどうかです。
・緊張が抜けない
・呼吸が浅い
・可動域が狭くなっている
こうした状態で運動をしても、疲労は抜けるどころか、かえって蓄積します。
身体の疲労は、単に「しんどい」で終わりません。
・判断が遅れる
・感情の起伏が大きくなる
・本来しなくていい決断をしてしまう
これは精神論ではなく、身体状態が脳の働きに影響している結果です。
経営や仕事の質を保つためにも、疲労を「我慢する対象」ではなく、マネジメントする対象として扱う必要があります。
これからフィットネスを始めよう、あるいは再開しようと考えている方に、ひとつだけお伝えしたいことがあります。
50代から必要なのは、闇雲に追い込むトレーニングではありません。
・力を発揮できる状態を作る
・疲労が抜ける余地を残す
・翌日に仕事の質が落ちない
こうした視点で身体を整えることが、結果的に「動ける身体」を取り戻す近道になります。
フィットネスは、若さを取り戻すためのものでも、自分を追い込むためのものでもありません。
仕事を続けるために、判断を誤らないために、人生を楽しむ余力を残すための手段です。
疲れが抜けないと感じているなら、それは「衰え」ではなく、身体との付き合い方を更新する時期に来ているサインかもしれません。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
前田 くにひさ
『くまスポ』代表/運動指導者/トレーナー養成講師
一般の方から経営者・管理職層まで、幅広い年代の身体と向き合ってきた経験をもとに、
「フィットネスの向こう側」を理念として掲げ、運動を通じて仕事や人生を支える身体の在り方を考え、
さらにその先にある健康で幸せな人生を追求し、活動中。
