2026/07/12

第18回 【睡眠改善7つの原則③】最適な睡眠時間は人それぞれ 〜8時間睡眠の常識から解き放たれよう〜

こんにちは。
ライフパフォーマンスコーチの前田です。

くまスポでは「フィットネスの向こう側」をテーマに、運動・栄養・休養を通じて、魅力的で快適で丈夫な身体、そして人生そのもののパフォーマンスを高めるための情報を発信しています。

このブログでは、「睡眠を良くすること」を目的にするのではなく、睡眠やリカバリーを通じて、仕事や趣味、家族との時間をもっと充実させるための考え方や実践法をお届けしています。

今回は、「睡眠改善7つの原則」の三つ目、

「最適な睡眠時間は、個人・年齢・季節・状況によって変わる」

というお話です。

※まだお読みでない方は、まずはこちらをご覧ください。
睡眠改善7つの原則とは何か(第16回)

「睡眠は8時間が理想」と聞いたことがある方も多いと思います。

「今日は6時間しか眠れなかった。」
「8時間寝られなかったから、今日はパフォーマンスが落ちる。」
そんなふうに、睡眠時間そのものに一喜一憂してしまう方は少なくありません。しかし実は、この考え方こそが睡眠を難しくしている原因の一つなのです。
実際には、最適な睡眠時間は人によって異なります。
まずは、その「8時間睡眠」という思い込みから少し自由になってみませんか?


「8時間」は平均の話

睡眠に関する研究では、
「7〜8時間程度の睡眠が健康リスクが低い」
という結果が多く報告されています。

しかしこれは必ずしも、
あなたも7時間や8時間眠らなければならない
という事を意味するわけではありません。

例えば平均身長が170cmだからといって、「全員170cmでなければ健康ではない」という話には当然なりません(笑)。

睡眠も実は同じです。
エビデンスが示しているのはあくまでも“平均”であって、決して
“あなたの正解”
ではないのです。


厚生労働省も「睡眠は、人それぞれ」

実は、厚生労働省が以前公表した「健康づくりのための睡眠指針」にも、
「睡眠は、人それぞれ。」
と明記されています。

睡眠時間だけでなく、生活リズムや眠気の感じ方、必要な休息量など、
人によって異なることを前提としています。

つまり、睡眠は誰かの正解を真似するものではなく、
自分自身に合った睡眠を見つけるもの
と考えた方が良さそうですね。
自分にとっての最適な睡眠時間。
見つけてみましょう。


年齢によっても変わる

必要な睡眠時間は年齢によって少しずつ変化します。

子どもは9〜10時間程度必要ですが、成人では7時間前後、高齢になると6時間程度でも十分な方が増えてきます。

年齢を重ねると、多くの方々は日中の行動量自体が少なくなります。
そうなると自ずと眠りが浅くなったり、途中で目が覚めやすくなったりします。
すべて、年齢とともに訪れる自然な変化なのです。

若い頃と同じ睡眠を求め続ける必要はありません。


人生の状況でも変わる

睡眠は人生のフェーズによっても変化します。

例えば、
・仕事で大きなプロジェクトを抱えている時。
・起業したばかりの時。
・子育て中。
・介護をしている時。
・受験勉強をしている時。
これらは心身ともに負荷が大きく、回復のために必要な睡眠量も変わります。

逆に、ストレスが少なく生活が割と安定している時には、以前より短い睡眠でも十分なパフォーマンスを発揮できることもあります。

つまり、
「自分は○時間睡眠の人間だ」
と決めつける必要はありません。
年齢だけではなく、その時々のご自身の状況によっても、最適な睡眠時間は異なります。


季節によっても変わる

睡眠は季節の影響も受けます。

冬はなんだか眠い時間が多い気がしますが、実は夜が長くなるため、自然と眠くなる時間も早くなるそうです。

逆に、夏は日の出が早く、活動時間が長くなるため、睡眠時間が短くなる方も少なくありません。

季節によって睡眠時間が変わる理由には、「体内時計」が深く関係しています。詳しくは前回の記事でも解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
睡眠改善7つの原則② 人間には体内時計がある(第17回)

もちろん個人差はありますが、一年中まったく同じ睡眠時間である必要はありません。
起床時間は固定化したいですが、就寝時間でうまくコントロールしましょう。


大切なのは「睡眠時間」ではない

ここまでご紹介したように、睡眠時間は一つの正解があるものではありません。まずは、次の図でポイントを整理してみましょう。

最適な睡眠時間は平均ではなく個人差があり、年齢・季節・ライフステージによって変化することを示した図解。大切なのは睡眠時間ではなく日中のパフォーマンスであることを解説。

睡眠時間に正解はありません。エビデンスは「平均」を示していますが、最適な睡眠時間は年齢・季節・生活状況などによって変化します。大切なのは、自分が日中を元気に過ごせる睡眠を見つけることです。

では、何を基準にすればいいのでしょうか。

私は自分のクライアントに体調や睡眠の状況をお聞きする際、
「昼間、眠気なく生活できていますか?」
と伺うことが多いです。
時間の長さではなく、実はこの感覚が最適な睡眠時間を図る指標となります。

日中、
集中できる。
判断力が落ちない。
仕事に没頭できる。
家族との時間を楽しめる。
トレーニングでしっかり動ける。

もしその状態が作れているのであれば、それがあなたにとっての適切な睡眠時間なのです。


まとめ

何かを獲得したり改善したりする際、「何かを手放す」ということは、非常に理にかなっています。
「新しいものが入ってくるスペースを開ける」という様に表現されることもあります。

では、睡眠改善で最初に手放したい事は、いったい何でしょうか

それは、
「8時間寝なければいけない。」
という思い込みです。

エビデンスは平均を示してくれます。
しかし、人生は平均ではなく、年齢も、生活も、仕事も、ストレスも、季節も、すべて違います。

だから睡眠も個人によって、また季節によって、違って当然です。

睡眠改善とは、平均に合わせることより、
あなた自身が、日中もっとも高いパフォーマンスを発揮できる睡眠を見つけること。
それこそが、本当の意味での「最適な睡眠」なのです。


次回予告

睡眠改善7つの原則、四つ目のテーマは、
「空腹では眠れない。しかし、満腹でも睡眠の質は下がる」
です。

「夜遅くに食べると睡眠に良くない。」
そんな話を耳にしたことがある方も多いでしょう。

では、夕食は何時までに食べればよいのでしょうか?
寝る前に小腹が空いたら我慢した方がいいのでしょうか?

次回は、睡眠と食事のタイミング、そして睡眠の質を高める夕食の摂り方について、科学的な根拠も交えながらお話しします。

睡眠改善7つの原則シリーズ

  • 第16回 睡眠改善とは原則の組み合わせである
  • 第17回 人間には体内時計がある
  • 第18回 最適な睡眠時間は人それぞれ(この記事)
  • 第19回 空腹では眠れない。しかし満腹でも睡眠の質は下がる(次回公開)

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前田 くにひさ

『くまスポ』代表/運動指導者/トレーナー養成講師/睡眠リカバリーコーチ

一般の方から経営者・管理職層まで、幅広い年代の身体と向き合ってきた経験をもとに、「フィットネスの向こう側」を理念として掲げ、運動を通じて仕事や人生を支える身体の在り方を考え、さらにその先にある健康で幸せな人生を追求し、活動しています。