2026/08/21
こんにちは。
ライフパフォーマンスコーチの前田です。
くまスポでは「フィットネスの向こう側」をテーマに、運動・栄養・休養を通じて、魅力的で快適で丈夫な身体、そして人生そのもののパフォーマンスを高めるための情報を発信しています。
このブログでは、「睡眠を良くすること」だけを目的にするのではなく、睡眠やリカバリーを通して、仕事や趣味、家族との時間をもっと充実させるための考え方や実践法をお届けします。
前回は、睡眠を改善する方法を「5つのアプローチ」に分け、自分の悩みや生活に合う入口から始めることをお伝えしました。
今回からは、その一つひとつを具体的に掘り下げていきます。
最初のテーマは「睡眠環境」です。
「寝室には、どのようなものをそろえればよいのでしょうか?」
そう聞かれると、高価なマットレスや枕、睡眠用の機器などを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、実はその前にいくつか確認してみていただきたいことがあります。
寝室は暗いでしょうか。
暑すぎたり寒すぎたりしていないでしょうか。
外の音や家電の動作音で、途中で目が覚めていないでしょうか。
そして、布団に入ってからも、スマートフォンを見たり、仕事の続きをしたりしていないでしょうか。
私たちの身体には、本来、眠るための仕組みが備わっています。
睡眠環境を整える目的は、何かの力で無理に「眠らせる」ことではなく、身体が自然に眠ろうとする力を邪魔するものを、一つずつ減らしていくことなのです。
眠れない夜が続くと、「もっと眠れる枕はないか」「何か特別な方法はないか」と、眠るための何かを足したくなりますが、睡眠環境を見直すときは、まず引き算で考えてみるのが良さそうです。
明るすぎる光、突然聞こえる音、暑さや寒さ、身体に合わない寝具、スマートフォンから入ってくる情報、寝室へ持ち込んだ仕事や考えごと。
こうした刺激が重なると、寝つきを悪くしたり、眠りを浅くしたり、夜中の目覚めを増やしたりすることがあります。
睡眠環境改善の大きな利点は、一度整えると、毎晩の努力や意志力に頼りすぎなくてよいことです。
つまり夜になってから「今日こそ頑張って眠ろう」とするのではなく、頑張らなくても休息へ向かいやすい条件を、先につくっておくという事。
それは翌日の集中力や判断力、感情の安定、身体の回復を支える環境づくりでもあります。
では、どの様なことに留意すれば良いのか。
一つずつ確認していきましょう。

光、音、温度・湿度、寝具・寝衣、スマートフォンや仕事との距離を見直し、眠りを邪魔しない寝室をつくりましょう。
私たちの身体は、光を手がかりに昼と夜を判断しています。
朝から日中に明るい光を浴びると、脳と身体は活動する時間だと認識します。
一方、夜になっても強い光を浴び続けると、自然な眠気が遅れることがあります。
就寝前は、寝室だけでなく、リビングや洗面所など、眠る前に過ごす場所の照明も少し落としていきます。
● 天井の明るい照明を少し暗くする
● 可能であれば、目に直接入りにくい間接照明を使う
● 就寝時は照明を消し、外の光が気になる場合はカーテンやアイマスクを使う
● 家電の表示灯が気になる場合は、位置を変えるか光を遮る
夜中にトイレへ行く方や、暗い場所で転倒する心配がある方は、安全が最優先です。
目に強い光が直接入らない足元灯などを使うとよいでしょう。
また、遮光カーテンで朝まで暗くする場合は、起床後にカーテンを開けて光を取り入れるところまでを一つの流れにします。
夜を暗くすることと、朝を明るくすること。この光のメリハリが、睡眠と覚醒のリズムを整えます。
眠っている間も、耳から入った音の情報は脳へ届いています。
自分では目が覚めた記憶がなくても、道路や電車の音、話し声、ドアの開閉音、家電の作動音などが、眠りを浅くすることがあります。
特に、突然大きくなる音や、不規則に繰り返される音は気になりやすいものです。
例えば、窓やドアを閉める、ベッドを窓や家電から少し離す、防音・遮光性のあるカーテンを使う、スマートフォンの通知音や振動を切るなど、できることから試してみてください。
完全な無音を目指す必要はありません。
音への感じ方には個人差があります。
大切なのは、自分の眠りを妨げている音があるかどうかを知り、減らせるものから調整することです。
なお、同室の方から強いいびきや呼吸が止まっていることを指摘される場合は、単なる「音の問題」として耳栓だけで済ませず、医療機関へ相談してください。
寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、寝つきにくくなったり、夜中に目が覚めたりします。
特に夏は、我慢してエアコンを切ることが、必ずしも身体に良いとは限りません。
暑さで汗をかき、何度も目が覚めるようであれば、室温や風量、寝具を調整し、朝まで過ごしやすい状態をつくる方が睡眠を守れます。
冬は、寝具の中を適度に温かく保つことが大切です。
また、夜間や早朝に寝室から廊下やトイレへ出たとき、急な寒さにさらされないよう、部屋の温度差にも注意しましょう。
快適な温度は、季節、年齢、体質、寝衣、布団の厚さ、同室で眠る人によって変わります。
「理想の数字」に自分を合わせるのではなく、
● 暑さや寒さで目が覚めていないか
● 寝汗や蒸れ、手足の冷えはないか
● 起床時に喉や鼻が乾燥していないか
を手がかりに調整してみてください。
温湿度計の数字も参考になりますが、最終的には「朝まで快適に眠れたか」「起きたときに休養感があるか」という身体の反応と合わせて判断しましょう。
寝具の役割は、寝ている身体を支え、余分な圧迫を減らし、寝返りを妨げず、寝床の中の温度や湿度を保つことです。
枕が高すぎたり低すぎたりすると、首や肩に負担がかかります。
また、マットレスが柔らかすぎると身体が沈み込み、硬すぎると肩や腰など一部に圧が集中することがあります。
寝具を見直すときは、
● 朝起きたとき、首・肩・腰に強い張りや痛みがないか
● 自然に寝返りができるか
● 暑さや蒸れ、冷えを感じないか
● 長く使用して、へたりや偏りが出ていないか
を確認してみてください。
寝衣は、締めつけが少なく、寝返りがしやすく、汗や湿気を逃がしやすいものを選びます。
まずは今使っている寝具と寝衣に、眠りを邪魔する違和感がないかを確認する。
それから必要なものだけを見直す方が、無理のない改善につながります。
高額な商品は数多ありますが、大切なのは、使用しする際に体へのストレスの有無。
ちなみに私自身は、あるファストファッション店のパジャマを愛用しています。笑。
寝室へスマートフォンを持ち込まない方がよい理由は、ブルーライトだけではありません。
メッセージ、ニュース、動画、SNS、仕事の連絡など、次々に入ってくる情報が、脳を活動する状態へ戻してしまいます。
「少しだけ確認するつもり」が長くなり、就寝時刻そのものが遅くなることもあります。
また、スマートフォン一つで仕事ができてしまうこの令和の時代。
布団の中で仕事をしたりメールを返したりする習慣が続くと、寝床が「眠る場所」ではなく、「起きて考える場所」「仕事を”できる場所”の一つ」になっていきます。
寝室に入ること、布団に入ること自体が、休息へ向かう合図になるようにしていきましょう。
● ベッドから手の届かない場所に充電場所をつくる
● 就寝時は「おやすみモード」などで通知を止める
● 目覚ましはスマートフォンではなく、時計を使う
● 明日の予定や気になることは、寝室へ入る前に紙へ書き出す
● パソコン、仕事の資料、鞄は寝室の外に置く
仕事上、緊急連絡を受ける必要がある方は、必要な相手からの着信だけを通すなど、現実的な境界線をつくります。
大切なのは、スマートフォンを悪者にすることではありません。
活動する場所と休む場所を、少しずつ分けていくことです。
スマートフォン自体は何も罪はないのです。
今夜、寝る前に一度、寝室を見回してみてください。
光、音、温度や湿度、寝具、スマートフォン、仕事の資料。
その中で、最も気になるものを一つだけ選び、一週間ほど調整してみましょう。
例えば、スマートフォンの充電場所を寝室の外にする、カーテンの隙間から入る光を遮る、エアコンの設定を見直す、ベッドを窓から少し離す、といった小さな変更で構いません。
そして、寝つきだけでなく、夜中に目が覚めた回数、朝の目覚め、日中の眠気や集中力、疲労感がどう変わったかを観察します。
何が自分の眠りを邪魔していたのかが分かれば、次に整えるべきことも見つけやすくなります。
睡眠環境を整える目的は、完璧な寝室をつくることでも、高価な寝具をそろえることでもありません。
光、音、温度、湿度、寝具、寝衣、スマートフォン、仕事。
その中から、自分の眠りを邪魔しているものを見つけ、一つずつ減らしていくことです。
夜になってから眠ろうと頑張るのではなく、自然に休息へ向かいやすい環境を、先に用意しておく。
寝室は、一日の仕事や役割を持ち込む場所ではなく、明日の自分をつくるために回復が始まる場所です。
まずは今夜、一つだけ「眠りを邪魔しているもの」を減らしてみてください。
その小さな引き算が、明日の目覚めと、その先の一日のパフォーマンスを変える第一歩になります。
※強いいびきや睡眠中の呼吸停止を指摘される、日中の耐えがたい眠気が続く、眠れない状態が長く続いて生活に大きな支障がある場合は、睡眠環境だけで解決しようとせず、医療機関へご相談ください。
● 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
光・温度・音など、良質な睡眠のための環境づくりに関する基礎資料です。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
● 厚生労働省 e-ヘルスネット「よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」
枕、マットレス、掛け布団に必要な条件や、寝返りと寝床内環境について解説されています。
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-003.html
● 厚生労働省 e-ヘルスネット「寝ても疲れが取れないなら要チェック!あなたの睡眠の質、大丈夫?」
夜間の光、スマートフォン、温度、音など、眠る環境を整えるポイントがまとめられています。
https://kennet.mhlw.go.jp/slp/event/sleep_quality/index.html
● Veterans Health Library「Understanding CBT-I: Using Your Bed Only for Sleep」
寝床を睡眠と結びつける「刺激コントロール」の考え方について解説されています。
https://www.veteranshealthlibrary.va.gov/RelatedItems/142%2C41435_va
良い睡眠というと、夜に何をするかを考えがちです。
しかし、夜の自然な眠気をつくる大きな起点は「朝」にあります。
次回は、
● 起床時刻をなるべく一定にする
● 朝の光を浴びる
● 水分、朝食、軽い身体活動で身体を起こす
● 朝の覚醒を夜の自然な眠気につなげる
といった、朝の目覚めを整える具体的な方法をお伝えします。
夜になってから眠ろうと頑張るのではなく、朝から良い眠りの準備を始める。
一日のスタートと、その日の終わりがどのようにつながっているのかを、一緒に考えていきましょう。
● 第24回 ①睡眠環境を改善する(今回)
● 第25回 ②朝の目覚めを改善する
● 第26回 ③快眠につながる食事と腸内環境をつくる
● 第27回 ④睡眠圧を高める
● 第28回 ⑤夜のリラックス習慣をつくる
● 第29回 5つのアプローチをどう使い分けるか
魅力的で快適で丈夫な、ワンランク上の身体づくりを通じて、人生のパフォーマンス向上をサポートしています。
『くまスポ』代表/運動指導者/トレーナー養成講師/睡眠リカバリーコーチ
一般の方から経営者・管理職層まで、幅広い年代の身体と向き合ってきた経験をもとに、「フィットネスの向こう側」を理念として掲げ、運動を通じて仕事や人生を支える身体の在り方を考え、さらにその先にある健康で幸せな人生を追求し、活動しています。