2026/09/13
こんにちは。
ライフパフォーマンスコーチの前田です。
くまスポでは「フィットネスの向こう側」をテーマに、運動・栄養・休養を通じて、魅力的で快適で丈夫な身体、そして人生そのもののパフォーマンスを高めるための情報を発信しています。
このブログでは、「睡眠を良くすること」だけを目的にするのではなく、睡眠やリカバリーを通して、仕事や趣味、家族との時間をもっと充実させるための考え方や実践法をお届けします。
前回は、②朝の目覚めを改善するをテーマに、起床時刻、朝の光、水分、朝食、軽い身体活動など、朝から一日のリズムを整える方法をお伝えしました。
今回は「食事と腸内環境」がテーマです。
良い睡眠のために、
「何を食べればよいですか」
「睡眠に良い食べ物はありますか」
と聞かれることがあります。
もちろん、食事の内容は大切です。
しかし、睡眠への影響を考えるときは、
という「食べ方」にも目を向ける必要があります。
快眠につながる食事とは、特別な食品を探すことではなく、一日の生活リズムに合った食べ方をつくることでもあるのです。
私たちの身体には、睡眠と覚醒、体温、ホルモン分泌などを、およそ一日周期で調整する「体内時計」が備わっています。
その体内時計を整える最も強い合図は「光」ですが、食事の時刻や身体活動も、一日のリズムを支える合図になります。
朝になったら光を浴び、朝食をとり、身体を動かす。
日中は活動し、夜になったら食事を終え、光や刺激を少しずつ減らしていく。
この繰り返しによって、身体は「活動する時間」と「休む時間」のメリハリをつかみやすくなります。
睡眠を改善するための食事は、栄養素だけでなく、生活リズムという視点からも考える必要があるのです。

何を食べるかだけでなく、いつ、どのように食べるかが、心地よい眠りにつながります。
夕食は、できれば就寝の2~3時間前までに終えておくことが一つの目安です。
ただし、仕事や家事、夜間の運動などにより、毎日理想的な時間に食べられるとは限りません。
大切なのは、遅くなったことを失敗と考えるのではなく、遅くなる日の食べ方を調整することです。
就寝直前にたくさん食べると、眠る時間になっても胃腸は消化のために働き続けます。胃のもたれや胸やけ、腹部の不快感があれば、寝つきや中途覚醒に影響することもあります。
夕食が遅くなる日は、
といった方法があります。
夕方にある程度のエネルギーを補給しておけば、帰宅後の強い空腹と食べすぎを防ぎやすくなります。
「夕食を遅くしない」だけでなく、「遅くなる日は、量と内容を変える」。
現実の生活に合わせて調整することが、継続するためには大切です。
眠る前の食事を控えようとして、強い空腹を我慢する方もいます。
しかし、空腹感が気になれば、それが刺激となって眠れないことがあります。
反対に、満腹になるまで食べた直後も、身体は休息へ切り替わりにくくなります。
睡眠にとって大切なのは、空腹か満腹かの二択ではなく、その間にある「空腹が気にならず、胃腸への負担も少ない状態」です。
夜遅くにどうしても空腹を感じる場合は、
などを、少量とる方法があります。
目的は、空腹を眠りの邪魔にならない程度まで落ち着かせることです。
当然お腹いっぱいに平らげて食欲を満たすことではありません。
逆に、毎晩のように強い空腹を感じる場合は、朝食や昼食が少なすぎないか、活動量に対して一日の摂取量が不足していないかも振り返ってみましょう。
夜の空腹は、その日の食生活全体の結果として現れていることもあります。
コーヒーやお茶を楽しむこと自体が、悪いわけではありません。
問題になりやすいのは、その量と時刻です。
カフェインが体内で半分程度まで減少するにも数時間かかるため、夕方以降に摂取したものが、就寝時刻になっても身体に残っている場合があります。
「夜にコーヒーを飲んでも眠れる」という方もいます。
しかし、眠りにつけるかどうかと、睡眠の深さや途中で目覚める回数に影響がないかどうかは、必ずしも同じではありません。
また、カフェインはコーヒーだけでなく、緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーラ、エナジードリンク、一部のチョコレートなどにも含まれています。
眠りに悩んでいる場合は、
といった方法を一週間ほど試してみてください。
コーヒーを完全にやめるのではなく、自分にとって何時までなら睡眠を妨げにくいのかを知ることが大切です。
お酒を飲むと眠くなるため、「寝る前に飲むとよく眠れる」と感じる方もいると思います。
確かに、アルコールには一時的に寝つきを早める作用があります。
しかし、寝つきが早くなることと、質の良い睡眠がとれることは同じではありません。
アルコールは睡眠の後半を浅くし、途中で目が覚める回数を増やすことがあります。飲酒量が増えれば、のどの渇き、夜間の排尿、いびき、翌朝の疲労感にもつながりやすくなります。
お酒を楽しむのであれば、
といった付き合い方を考えてみましょう。
「眠れたか」だけでなく、「翌朝に回復した感覚があるか」という視点からも、飲酒と睡眠の関係を見直すことが大切です。
前回の記事では、朝の光、水分、朝食、軽い身体活動が、身体を活動へ切り替える合図になることをお伝えしました。
朝食も、身体に一日の始まりを伝える生活上の合図になります。
だからといって、毎朝何品もの料理を用意する必要はありません。
など、自分が無理なく続けられる形で構いません。
朝は食欲がないという方は、最初からしっかり食べようとせず、少量から始めてみてください。
大切なのは、「理想的な朝食」を一度だけ食べることではありません。
起床時刻や朝の光と組み合わせながら、自分の生活に合った朝食を続けることです。
近年、「腸と脳は互いに影響を与え合っている」という考え方が注目されています。
腸内細菌やその代謝物、免疫系、神経系などを通じて、腸の状態と睡眠が関係している可能性も研究されています。
ただし、現時点では、
「この食品を食べれば必ず眠れる」
「腸内環境を整えれば不眠が治る」
とまで言い切れる段階ではありません。
腸内環境には、食事だけでなく、年齢、運動、ストレス、薬、病気、生活リズムなど、さまざまな要因が関係しています。
特定の食品やサプリメントだけに頼るのではなく、
などを、体調に合わせて偏りなく食べることが基本です。
食生活が睡眠に影響する可能性がある一方、睡眠不足によって食欲や食べ物の選び方が乱れることもあります。
食事、睡眠、運動、ストレスを、別々の問題ではなく、一つのつながりとして見ていくことが大切です。
ここまで読んで、
「夜遅くに食べてはいけない」
「コーヒーやお酒もやめなければならない」
と感じた方もいるかもしれません。
しかし、快眠のための食事を、禁止や制限だけで考える必要はなく、例えば
:夕食が遅くなる日は、食事を二回に分ける。
:午後からはデカフェを選ぶ。
:お酒を飲む日は量を決める。
:朝は少量でも何か口にする。
というような小さな調整を、自分の生活の中へ取り入れることが大切です。
食事は、一日の楽しみでもあります。
睡眠のためにすべてを我慢するのではなく、食事を楽しみながら、眠りを邪魔しにくい方法を探していきましょう。
食生活は、何をすればよいのか分かっていても、実際に続けることが難しいものです。
帰宅が遅くなれば、強い空腹から食べすぎることがあります。疲れている日はコーヒーや甘い物に手が伸び、ストレスが続けばお酒の量が増えることもあるでしょう。
これは、知識や意志ばかりに頼らず、食事調整をしやすい環境の整理やシステムを構築することでコントロールしやすくなります。
例えば、
のように、意志だけに頼らない仕組みをつくります。
これにはグループでの、食事内容や食べた時刻、睡眠の状態などの共有が非常に有効です。
誰かに厳しく管理してもらうためではありません。
記録や共有を、自分の状態に気づき、次の行動を選ぶきっかけにするためです。
「何をすると調子が良かったのか」を見つけることが、生活習慣を無理なく続けることにつながります。
企業様やグループなどで、オンラインでも取り組むことができる内容です。
私自身もプログラムをファシリテートして、皆様の生活習慣の改善のプログラムを主催しています。
ぜひ取り組んでみたい方おられましたら、こちらからご連絡ください。
食生活を整えようとして、明日からすべてを変える必要はありません。
まずは、次の中から一つか二つだけ選び、一週間ほど試してみてください。
そして、
が、どのように変わったかを観察してみましょう。
毎日完璧にできたかではなく、「自分は、いつ、どのくらい食べると調子が良いのか」を見つけることが目的です。
快眠につながる食事を考えるとき、何を食べるかは大切です。
しかし、それだけではありません。
夕食を食べる時刻。
食べる量。
眠る前の空腹感や満腹感。
カフェインやアルコールをとる時刻と量。
朝食を含めた一日の食事の流れ。
こうした要素が重なり合って、夜の眠りと翌朝の目覚めに影響します。
また、腸内環境と睡眠の関係についても研究が進んでいますが、一つの食品だけで睡眠が決まるわけではありません。
食事、運動、睡眠、ストレス、生活リズムは、互いにつながっています。
夕食が遅くなる日は量を調整する。
夕方以降はカフェインの少ない飲み物を選ぶ。
お酒を眠るために使わない。
朝になったら少量でも食事をとる。
まずは、その中の一つから始めてみてください。
良い食事とは、栄養素の数字だけが整った食事ではありません。
身体に一日のリズムを伝え、夜の休息と翌日の活動を支える食事でもあるのです。
※胸やけや胃痛、食欲不振、下痢や便秘などの症状が続く場合、飲酒量を自分で減らすことが難しい場合、食生活を見直しても強い不眠や日中の眠気が続く場合は、生活習慣だけで解決しようとせず、医療機関へご相談ください。
● 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
食事の時刻、朝食、カフェイン、アルコールなど、良い睡眠につながる生活習慣についてまとめられています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
● 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
規則正しい食事や運動習慣など、睡眠と生活習慣の関係について解説されています。
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004.html
● Shi S, et al. “Investigating bidirectional causal relationships between gut microbiota and insomnia”
腸内細菌と不眠との双方向の関係について検討した研究です。現時点での可能性と、今後さらに研究が必要な点が示されています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11882158/
夜になっても眠くならないと、「もっと早く布団に入らなければ」と考えてしまいがちです。
しかし、自然な眠気は、寝床に入ってから急につくるものではありません。
朝に起きてから、日中をどのように過ごしたかによって少しずつ育っていきます。
次回は、
などについてお伝えします。
眠気は夜につくるのではなく、昼に育てるという考え方から、自然に眠れる一日の過ごし方を一緒に考えていきましょう。
● 第26回 ③快眠につながる食事と腸内環境をつくる(今回)
● 第27回 ④睡眠圧を高める
● 第28回 ⑤夜のリラックス習慣をつくる
● 第29回 5つのアプローチをどう使い分けるか
魅力的で快適で丈夫な、ワンランク上の身体づくりを通じて、人生のパフォーマンス向上をサポートしています。
『くまスポ』代表
運動指導者/NESTA Japan認定講師/睡眠リカバリーコーチ/グレイシー柔術インストラクター
一般の方から経営者・管理職層まで、幅広い年代の身体と向き合ってきた経験をもとに、「フィットネスの向こう側」を理念として掲げ、運動を通じて仕事や人生を支える身体の在り方を考え、さらにその先にある健康で幸せな人生を追求し、活動しています。