2026/07/19
こんにちは。
ライフパフォーマンスコーチの前田です。
くまスポでは「フィットネスの向こう側」をテーマに、運動・栄養・休養を通じて、魅力的で快適で丈夫な身体、そして人生そのもののパフォーマンスを高めるための情報を発信しています。
このブログでは、「睡眠を良くすること」だけを目的にするのではなく、睡眠やリカバリーを通じて、仕事や趣味、家族との時間をもっと充実させるための考え方や実践法をお届けしています。
今回は、「睡眠改善7つの原則」の四つ目、
「空腹では寝付けない。しかし、満腹では睡眠の質は下がる」
というお話です。
※まだお読みでない方は、まずはこちらをご覧ください。
▶ 睡眠改善7つの原則①…睡眠圧
▶︎ 睡眠改善7つの原則②…体内時計
▶︎ 睡眠改善7つの原則③…睡眠時間
前回は、最適な睡眠時間は人によって異なり、その判断材料の一つが、
「昼間、眠気なく生活できているか」
であるとお伝えしました。
ただし、ここで一つ注意が必要です。
日中に眠気を感じたからといって、その原因がすべて睡眠不足とは限りません。
特に昼食後の眠気には、食事の量や内容、食後の血糖値の変化なども関係しています。
つまり、日中のパフォーマンスと夜の睡眠を整えるためには、睡眠時間だけではなく、一日の食事の取り方にも目を向ける必要があるのです。
まずは、今回の内容を一枚の図にまとめました。
「昼の食事」が、午後の集中力だけでなく、夜の睡眠にも影響する流れをご覧ください。

昼間の食事は、その場の満腹感だけでなく、午後の集中力や夜の睡眠にも影響します。食べ方や食べるタイミングを整えることが、ライフパフォーマンス向上への第一歩です。
昼食を食べたあと、急に眠くなる事とてもよくありますね。
私は仕事柄、丸一日、セミナーなど講師をしていることが多いのですが、学習意欲の高い参加者の皆様でも、さすがに昼イチの時間は、頭がぼんやりして、仕事への集中力が少し下がり気味になられている事があります。
その為、午後の最初の時間にはエクササイズの実技の内容や、グループディスカッションなどの発話が多い内容にする様にしています。
話を戻しますが…
昼食後に眠くなると、
「昨日、あまり眠れなかったからだろう」と考えがちです。
もちろん、睡眠不足があれば食後の眠気はさらに強くなります。
しかし、十分に眠ったはずなのに毎日のように強い眠気が出る場合には、睡眠時間だけではなく、昼食の量や内容も見直してみる必要があります。
人間には、体内時計の働きによって午後に眠気が出やすい時間帯があります。
その自然な眠気に、満腹感や消化活動、食事内容、血糖値の変化などが重なることで、食後の眠気が強くなると考えられています。
つまり、
「食後に眠い=血糖値の急上昇・急降下」
と単純に決めつけることはできません。
食後の眠気は、睡眠不足、体内時計、食事量、食事内容、血糖値の変動などが重なって起こるものです。食事と血糖値が眠気に及ぼす影響については研究が続いており、血糖値だけで食後の眠気を説明できるわけではないことも示されています。
血糖値とは、血液の中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。
これは、脳や筋肉など、身体のエネルギー源になるものです。
ご飯、パン、麺類、菓子類、甘い飲み物などに多く含まれる糖質を摂ると、消化・吸収されたブドウ糖が血液中に入り、血糖値が上昇します。
すると身体は、血糖値を一定の範囲に戻すために、インスリンというホルモンを分泌します。
この仕組み自体は、身体に備わった正常な働きです。
問題になりやすいのは、
といった食べ方によって、食後の血糖値が大きく変化することです。
血糖値の上がり方や下がり方には個人差があり、同じものを食べても反応は全員同じではありません。
それでも、糖質に偏った食事や食べ過ぎを避け、血糖値を必要以上に大きく変動させない食べ方は、午後の集中力を保つうえでも、体重や健康を管理するうえでも大切です。
昼食を、
「満腹になるための時間」
と考えていないでしょうか。
昼食後にも仕事や家事が続くのであれば、本来の目的は、午後の活動に必要なエネルギーと栄養を補給することです。
ところが、満腹になるまで食べてしまうと、食後に身体が重くなり、眠気やだるさが強くなることがあります。
例えば、
といった組み合わせは、糖質に偏りやすく、量も多くなりがちです。
決して、これらを食べてはいけないという話ではありませんが、大切なのは、
「その後、自分はどのような状態になるのか」
を観察することの様に思います。
昼食後に毎回強い眠気が出るのであれば、
などといった工夫を試してみましょう。
午後も高いパフォーマンスを発揮したいのであれば、昼食は、
「何を食べたいか」だけではなく、「食べたあと、どう動きたいか」
から逆算するのが良いかもしれません。
昼食後の強い眠気は、その時間だけの問題ではありません。
眠気を乗り切るために、
といった行動を取ると、今度は夜の睡眠に影響が出る可能性があります。
また夕方以降にカフェインを多く摂れば、夜になっても眠気が弱くなることがあります。
夕方に長めの昼寝を入れる事で、夜に眠るために必要な「睡眠圧」が弱まり、寝付きにくくなることもあります。
そして夜の睡眠が不足すると、睡眠の質と量が低下し、翌日はさらに強い眠気を感じる。
その眠気を補うために、またカフェインや甘いものに頼る。
こうして、
昼間の眠気と夜の睡眠が、お互いを乱し合うループ
ができてしまいます。
前回の記事で、最適な睡眠時間を判断するためには、日中の眠気を見ることが大切だとお伝えしました。
しかし日中の眠気がある場合には、単に睡眠時間を延ばすだけではなく、
「昼に何を、どれくらい、どのように食べたか」
まで振り返る必要があるのです。
次は、夜の食事について考えてみましょう。
仕事が終わるのが遅く、帰宅してから夕食を食べる。
一日の仕事が終わった解放感から、つい食べ過ぎる。
夕食後、お菓子やアイスクリームを食べながらくつろぐ。
このような生活になっている方も少なくないと思います。
ある意味、頑張った1日のご褒美の様な、至福の時間でもあります。
しかし、寝る直前にたくさん食べると、眠っている間にも胃や腸は消化活動を続けなければなりません。
身体は横になっていても、内側ではまだ頑張って仕事をしている状態です。
⚫ 就寝前の夜食や間食は、朝食の⽋食と同様に体内時計を 後退させ、翌朝の睡眠休養感や主観的睡眠の質を低下 させることが報告されています。さらに、夜食や間食 の過剰摂取は、糖尿病や肥満をもたらし、閉塞性睡眠時無呼吸の発症リスクも高めることが報告されています。
と、記されています。
就寝直前の夕食や夜食、間食は、寝付きを悪くし、眠りを浅くする可能性があるため、見直すことが勧められているのです。
食べると眠くなるため、
「満腹の方がよく眠れる」
と感じることもあるかもしれませんが、眠気を感じることと、質の高い睡眠を取れることは同じではありません。
寝付きは早くても、
という状態であれば、夕食の時間や量が合っていない可能性があります。
夜中に何度も目が覚めることを「中途覚醒」または「夜間覚醒」といいます。
夜間覚醒には、ストレス、加齢、室温、光、音、飲酒、カフェイン、尿意、睡眠時無呼吸など、さまざまな原因があるため、すべてを食事のせいにすることはできません。
ただし、
という自覚がある日に夜中に目が覚めやすいのであれば、夕食との関係を疑ってみる価値はあります。
また、糖尿病があり、インスリンや血糖値を下げる薬を使用している方の場合には、夜間低血糖が睡眠に影響することがあります。
ただし、健康な方の夜間覚醒を何でも「低血糖のせい」と判断するのは適切ではありません。夜中の発汗、動悸、悪夢、起床時の強い頭痛やだるさなどがあり、血糖値に不安がある場合は、自己判断で食事を増やすのではなく、医療機関に相談してください。
よく、
「夕食は寝る3時間前までに済ませましょう」
といわれます。
一つの目安としては分かりやすいのですが、こちらも前回の睡眠時間の話同様、誰にでも同じように当てはまる絶対的な決まりではありません。
食事の量や内容、消化の速さ、就寝時刻、仕事の都合によって、適切な間隔は変わります。
大切なのは、時計の数字だけではなく、眠る時点で、胃に強い満腹感や重さが残っていないことという感覚です。
例えば、23時に眠る方であれば、20時頃までに夕食を終えられるのが一つの目安になります。
しかし仕事の都合で、どうしても夕食が22時になるのであれば、
「22時になったから食べてはいけない」と考えるより、
といった工夫をする方が建設的ではないでしょうか。
睡眠改善は、理想的な生活ができる人だけのものではなく、自分の仕事や生活の中で、現実的に続けられる方法を見つけることが大切なのです。
また、「夜に食べると睡眠に悪い」と考えすぎて、強い空腹を我慢したまま寝床に入る必要もありません。
お腹が空いて眠れない。
食べ物のことばかり考えてしまう。
空腹感で落ち着かない。
目を閉じると「今何が一番食べたいか」考えてしまう…
このような状態では、心身がリラックスしにくく、かえって寝付きが悪くなります。
特に、
といった場合には、就寝前に空腹を感じることがあります。
そのようなときは、無理に我慢するのではなく、量を抑えた軽い補食を選びましょう。
例えば、
などです。
ただし、「小腹が空いた」のではなく、単に夜食が習慣化している場合もあります。
まずは、
本当に身体が空腹なのか、それとも口寂しいだけなのか
を一度考えてみることも大切です。
食事と睡眠の関係を考える際に大切なのは、「夜は絶対に食べてはいけない」「糖質は眠気の原因だから避けなければならない」といった極端なルールを作らないことです。
昼食後に眠くなるのであれば、食事の内容や量を調整する。
夕食後に胃が重いのであれば、食べる時間や量を見直す。
空腹で眠れないのであれば、少量の補食を取る。
そして翌朝、
を確認する。
この繰り返しによって、自分に合った食事と睡眠の関係が少しずつ見えてきます。
睡眠は、夜だけを切り取って整えるものではなく、朝、昼、夜の過ごし方の結果です。
これは食事も同様で、朝、昼、夜に何を食べ、どのように活動した結果、内臓がどの様なコンディションになっていて、どのよう感覚で一日を終えたのか。
そのすべてが、夜の眠りにつながっています。
前回は、自分にとって最適な睡眠時間を判断する一つの基準として
「昼間、眠気なく生活できているか」
という視点をご紹介しました。
ただし、昼間の眠気は睡眠時間だけで決まるものではなく、昼食の量や内容、食後の血糖値の変化、体内時計なども関係しています。
また、夜の食事についても、
といった考え方が大切です。
昼食も夕食も、目的は単にお腹を満たすことではありません。
昼食は、午後のパフォーマンスを支えるため。
夕食は、一日の身体を回復させ、安心して眠りに入るため。
「何を食べるか」だけではなく、「食べたあと、どう過ごしたいのか」から考える。
それが、食事と睡眠をライフパフォーマンスにつなげるための大切な視点です。
睡眠改善7つの原則、五つ目のテーマは、
「原則⑤ 就寝後最初の90分を守る 〜回復のゴールデンタイム〜」
です。
睡眠には、特に重要な時間帯があります。
それが、眠り始めの最初の90分です。
この時間帯にどれだけ深く眠れるかによって、その日の疲労回復や脳のコンディション、翌日のパフォーマンスが大きく左右されると考えられています。
睡眠時間をただ長くするだけでは、質の高い睡眠にはつながらないのです。
次回は、最初の90分がなぜ「回復のゴールデンタイム」と呼ばれるのか、そしてその大切な時間を守るために今日からできる工夫についてお話しします。
魅力的で快適で丈夫な、ワンランク上の身体づくりを通じて、人生のパフォーマンス向上をサポートしています。
一般の方から経営者・管理職層まで、幅広い年代の身体と向き合ってきた経験をもとに、「フィットネスの向こう側」を理念として掲げ、運動を通じて仕事や人生を支える身体の在り方を考え、さらにその先にある健康で幸せな人生を追求し、活動しています。